先駆者としての自負

現在、薬剤師は目的毎に書籍やサイトを選択して情報を見つけ出さなければならないという不便さに甘んじています(不便だという自覚すらないかもしれません)。

結果、ネット上では最新の情報が提供されているというのに、何ヶ月(何年!?)も前の情報が掲載された書籍(「●●医薬品集」)が多くの薬剤師から支持されているという「痛し痒し」の現象も生じています。

一方PMDAは、医療機関や薬局に向け「PMDAメディナビ」や「マイ医薬品集作成サービス」の登録を呼び掛けています。

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しかし、これらのサービスの主眼はあくまで安全性情報の周知。

なので、DI担当者ならばともかく、薬剤師の実務にマッチしているとは言えません(利活用率が低迷するのも当然です)。


医療界ではあれほど地域連携が重要課題となっているのに、そこで論じられるのはカルテ情報の共有ばかりで、医薬品情報の共有がテーマになることはほとんどありません。

   「添付文書さえ参照できればよい」

恐らくそう考えられているからだと思いますが、これはあくまで医師の見解です。

薬剤師が地域連携に関わる以上、多様化する医療ニーズの中、添付文書だけでは太刀打ちできていない現状と情報インフラの必要性がもっと議論されるべきなのです。


二つ目の気付き : 薬剤師を取り巻く歪(いびつ)な情報インフラ


いずれも「ハイパー医薬品集」があれば解決する話です。

商品化されていない以上、自作するしかありませんが、実際に作ってみるとメンテナンスの方が大変だということがわかります。

例えば書籍からの転記やリンクやフラグの更新。

それ自体は単純作業であり、薬学的知識がなくてもできることばかりです。

だが、単純作業だからこそ多忙な薬剤師が時間を割くことは難しい。

それが現実なのです。

この矛盾点を解決しない限り、「ハイパー医薬品集」を普及させることはできません。

しかし、その単純作業を肩代わりしてくれる業者が現れたなら話は別です。

ただ、そのような業者の登場を待っていられない私は、自ら起業することを思い立ちました。

   「自分がやらなきゃ、誰がやる?」

先駆者としての自負でした。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 【フォーミュラリーによろしく】 第4話「苦悩」
                 【フォーミュラリーによろしく】 第5話「決意」

(後編に続く)