今後の課題についてもおうかがいしたいのですが。
はい、本格稼働から1年半を経過したHospital Formularyですが、まだほんの序章に過ぎません。課題は山積しています。薬事日報さんの記事にもありますが、「利用率の向上」が目下最大の課題ですね。
えっ?これだけ便利なシステムなのに利用率が伸びないのですか?
残念ながらそうなんです。「情報弱者」のために作ったHospital Formulary。しかし、真っ先に飛びついたのは、皮肉にもこんなシステムなんかなくても情報収集のできるベテラン陣だったのです。情報リテラシーの格差が縮まるどころか逆に広がってしまった訳です。「必須アイテム」を作るつもりだったのに、「(ないよりはあった方がましという程度の)便利グッズ」を作ってしまったのか?当初は随分と悩みました。まあ今では、先輩の背中を見て若手も使ってもらえたらいいな、と(苦笑)。
それ以外にも原因は?
デバイス不足も影響しました。病棟には自由に使えるインターネット端末がほとんどありません。kintoneはスマホでも利用可能なので心配してなかったんですが、病棟でスマホを使っていると他のスタッフに私用と誤解されるそうで…。蓋を開けてみないとわからないもんですよね。そこで余った予算でタブレットを数台購入してもらったのですが、これの利用率も今一つ(涙)。「情報弱者」を甘く見ていたことを思い知られました。だから今でも…なんです。
ええ~!!
驚き過ぎですよ(笑)。使わないものに予算はいただけませんから当然のことです。むしろ、「白紙に戻すこともあり得る」ことを半分冗談(半分本気!?)でチラつかせながらスタッフの尻を叩いている次第です。そのかいもあって、最近では利用率もだいぶ改善してきました。
※2016年度より無事予算化が認められました。
Hospital Formularyを構築する上で何か困られたことは?
やはり「スキャンデータ」の扱いですね。参考図書を自炊(スキャン)して添付すれば手っ取り早い訳です。でも、どうしても著作権の問題が絡みます。現在でも若干のスキャンデータを使用していることは否定しません。それが絶対にダメだと言われたら、全て手入力するしかありませんが、じゃあそれで全く問題は解消するのか?スキャンしたデータをOCR処理してテキスト化するのは許されるのか?その辺が明確になるまではビクビク(!?)しながら扱うことになりそうです。
メンテナンス上の課題もあるとうかがいましたが?
はい。Hospital Formularyの本格稼動に際し、最も懸念の声が寄せられたのがメンテナンスに関してでした。私がいなくなったらメンテナンスは大丈夫か?、と。「そんな先のことより今使ってよ!」と言いたくなっちゃいますが・・・(笑)。ただ、実際にやってみるとわかりますが、レコードの追加・変更、リンクや添付ファイルの更新など、Hospital Formularyのメンテナンスは必ずしも薬剤師でなくてもできる業務なのです。
言われればそうですね。その業務を事務員に代行させる訳ですか?
その通りです。「薬剤師でなくとも可能な業務」の仕分けと助手の利活用については、亀田総合病院・舟越亮寛先生もかねてより提唱されており同感です。当院でも暇を見て事務さんに入力を手伝ってもらったり、サイトを巡回してもらったりしています。ノウハウさえ確立すれば、事務主導でメンテナンスを行うことも夢ではないと考えています。リンク先の情報が自動更新されるのなら、メンテナンス自体も必要ありませんしね。
ただ、薬の知識のない事務員が入力すると信頼性が…。
その点はちゃんと考えています。事務専用のアカウントを用意していますので、事務員がメンテナンスした箇所は一目でそれとわかります。それを後ほどDI担当者が承認(上書き保存)する訳です。
様々な想いが込められたHospital Formulary。最終的なゴールはどこに見据えておられますか?
ご記憶ですか?最初の方で、「情報弱者を救うためHospital Formularyの着想が生まれたのか?」とたずねられた時、私少し言葉を詰まらせましたけど(笑)、実はその着想は虎の門病院・林昌洋先生からいただいたものなんです。
そのお話をうかがった時、私は将来的にHospital Formularyが病院薬剤師にとっての「必須アイテム」となると確信しました。そして、(時間の関係上詳しくはご説明できませんが)RMP(医薬品リスク管理計画)およびPBPM(プロトコールに基づく薬物治療管理)の実践に向け、Hospital Formularyの作成を目指すことにしたのです。
「情報源」そして「情報共有の場」としてのHospital Formularyが軌道に乗った後は、「プロトコール集」としてのHospital Formulary作りに邁進するつもりです。
はい、本格稼働から1年半を経過したHospital Formularyですが、まだほんの序章に過ぎません。課題は山積しています。薬事日報さんの記事にもありますが、「利用率の向上」が目下最大の課題ですね。
えっ?これだけ便利なシステムなのに利用率が伸びないのですか?
残念ながらそうなんです。「情報弱者」のために作ったHospital Formulary。しかし、真っ先に飛びついたのは、皮肉にもこんなシステムなんかなくても情報収集のできるベテラン陣だったのです。情報リテラシーの格差が縮まるどころか逆に広がってしまった訳です。「必須アイテム」を作るつもりだったのに、「(ないよりはあった方がましという程度の)便利グッズ」を作ってしまったのか?当初は随分と悩みました。まあ今では、先輩の背中を見て若手も使ってもらえたらいいな、と(苦笑)。
それ以外にも原因は?
デバイス不足も影響しました。病棟には自由に使えるインターネット端末がほとんどありません。kintoneはスマホでも利用可能なので心配してなかったんですが、病棟でスマホを使っていると他のスタッフに私用と誤解されるそうで…。蓋を開けてみないとわからないもんですよね。そこで余った予算でタブレットを数台購入してもらったのですが、これの利用率も今一つ(涙)。「情報弱者」を甘く見ていたことを思い知られました。だから今でも…なんです。
ええ~!!
驚き過ぎですよ(笑)。使わないものに予算はいただけませんから当然のことです。むしろ、「白紙に戻すこともあり得る」ことを半分冗談(半分本気!?)でチラつかせながらスタッフの尻を叩いている次第です。そのかいもあって、最近では利用率もだいぶ改善してきました。
※2016年度より無事予算化が認められました。
Hospital Formularyを構築する上で何か困られたことは?
やはり「スキャンデータ」の扱いですね。参考図書を自炊(スキャン)して添付すれば手っ取り早い訳です。でも、どうしても著作権の問題が絡みます。現在でも若干のスキャンデータを使用していることは否定しません。それが絶対にダメだと言われたら、全て手入力するしかありませんが、じゃあそれで全く問題は解消するのか?スキャンしたデータをOCR処理してテキスト化するのは許されるのか?その辺が明確になるまではビクビク(!?)しながら扱うことになりそうです。
メンテナンス上の課題もあるとうかがいましたが?
はい。Hospital Formularyの本格稼動に際し、最も懸念の声が寄せられたのがメンテナンスに関してでした。私がいなくなったらメンテナンスは大丈夫か?、と。「そんな先のことより今使ってよ!」と言いたくなっちゃいますが・・・(笑)。ただ、実際にやってみるとわかりますが、レコードの追加・変更、リンクや添付ファイルの更新など、Hospital Formularyのメンテナンスは必ずしも薬剤師でなくてもできる業務なのです。
言われればそうですね。その業務を事務員に代行させる訳ですか?
その通りです。「薬剤師でなくとも可能な業務」の仕分けと助手の利活用については、亀田総合病院・舟越亮寛先生もかねてより提唱されており同感です。当院でも暇を見て事務さんに入力を手伝ってもらったり、サイトを巡回してもらったりしています。ノウハウさえ確立すれば、事務主導でメンテナンスを行うことも夢ではないと考えています。リンク先の情報が自動更新されるのなら、メンテナンス自体も必要ありませんしね。
ただ、薬の知識のない事務員が入力すると信頼性が…。
その点はちゃんと考えています。事務専用のアカウントを用意していますので、事務員がメンテナンスした箇所は一目でそれとわかります。それを後ほどDI担当者が承認(上書き保存)する訳です。
様々な想いが込められたHospital Formulary。最終的なゴールはどこに見据えておられますか?
ご記憶ですか?最初の方で、「情報弱者を救うためHospital Formularyの着想が生まれたのか?」とたずねられた時、私少し言葉を詰まらせましたけど(笑)、実はその着想は虎の門病院・林昌洋先生からいただいたものなんです。
添付文書よりも踏み込んだドーズ・工程の管理を院内独自の「プロトコール集」、すなわちHospital Formularyをもって行い、「マクロ」のチーム医療を実践する。
そのお話をうかがった時、私は将来的にHospital Formularyが病院薬剤師にとっての「必須アイテム」となると確信しました。そして、(時間の関係上詳しくはご説明できませんが)RMP(医薬品リスク管理計画)およびPBPM(プロトコールに基づく薬物治療管理)の実践に向け、Hospital Formularyの作成を目指すことにしたのです。
「情報源」そして「情報共有の場」としてのHospital Formularyが軌道に乗った後は、「プロトコール集」としてのHospital Formulary作りに邁進するつもりです。